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郡山医療生活協同組合 桑野協立病院

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肩石灰性腱炎

【病気の説明】この病気は腱板内に石灰物質(炭酸アパタイト)が沈着する病気です。1908年アメリカ人のペインターはレントゲン写真を使い初めてこの病気を発見しました。石灰物質の成分分析と沈着する原因を私は長年研究しましたが、結局原因の詳細はわかりません。
 発生頻度は100人あたり2人から7人です。80%は中年以降の女性に起こります。しかし、石灰が沈着しても無症状のヒトはたくさんいます。一方、急な激しい肩痛のためまったく肩を動かせず、慌てて病院を受診する場合もあります。この病気はさまざまな症状を呈する奥の深い病気である点に私は興味があります。

症 状
肩石灰性腱炎には5種類の症状があります。
(1)無症状、(2)急性症状といい、前述した肩を動かせない程の激しい痛みに襲われるタイプであり、一番多い症状です。この痛みは1~2週間で落ち着き、かつ石灰物質も自然に吸収されます。痛い目に遭いますが、すぐに治る最良の経過と考えています。(3)亜急性症状は無症状と急性症状を繰り返すタイプです。少々厄介です。(4)慢性症状は腕を挙げたときに痛い、使い過ぎると痛みが出るといったタイプです。原因は石灰物質の刺激による肩峰下滑液包炎(腱板の上にある袋)と石灰の沈着した筋肉の機能不全です。(5)拘縮症状を呈することもまれにあります。一見特発性凍結肩のようですが、石灰物質を取ると拘縮はなくなります。
治 療
(2)急性症状に対して肩峰下滑液包炎へのステロイド注射、痛み止め内服をすると、2週間以内に痛みは嘘のように消えます。体内で炎症を起こし、石灰物質を溶かそうとするのでしょう。痛みは激しいですが経過は最も短くかつ良好です。(3)亜急性症状とは無症状の時と急性期を繰り返すタイプです。無症状であれば問題ありませんが、急性症状の際には前述の治療をします。急性症状を繰り返すようであれば、石灰物質を摘出すべきでしょう。 (4) と(5)についてはステロイド注射、痛み止め内服とリハビリテーションで1か月治療し、効果のない場合は石灰への針刺し、または手術で摘出し、原因である石灰物質の除去を図るべきです。 (5) による肩関節拘縮(動かない)は最も治療期間を要し、石灰性腱炎の中で最も強敵といえます。