烏口上腕靭帯病変うこうじょうわん靭帯びょうへん
肩関節の袋が烏口突起に腕を伸ばした烏口上腕靭帯(右図)、この靭帯が肩関節の動きに関係することは1970年代から知られていました。さらに、さまざまな肩関節の病気でこの靭帯が厚くなり肩関節運動、特に内・外旋制限を生じます(図2a-c)。五十肩の後遺症がある私自身、烏口上腕靭帯の解剖および肩甲骨と骨頭の三次元運動を研究した結果、外旋制限はもちろん、内旋制限も烏口上腕靭帯が原因との結論に至りました。
そこで、自分の肩に局所麻酔注射をし、内旋マニピュレーションをすると図3のように靭帯を切れることがわかりました。その後烏口上腕靭帯が肥厚し内旋制限のある患者さん、腱板断裂の患者さん、特発性凍結肩(五十肩)の患者さんに内旋マニピュレーションを行っています。内旋制限のみの患者さんを平均1.8か月で治せるとの結果を得ました。現在、腱板断裂・五十肩のデータを調査中です。
正常な烏口上腕靭帯
腱板断裂
凍結肩(五十肩)
処置で切れた靭帯