2012年5月23日(水)

大飯原発再稼働と"未来への責任"

 国内で唯一稼働していた北海道電力泊3号機が5月5日に停止し、原発ゼロの時を迎えました。一方、政府や財界の原発再稼働へ向けての動きが活発化し、おおい町議会は大飯原発3号機、4号機の再稼働を11対1(反対したのは共産党町議のみ)の大差で可決しました。原発再稼働の持つ意味を、“将来の負担”“未来への責任”という視点で考えてみたいと思います。
 2009年1月に運転停止、廃炉となった浜岡原発1・2号機の廃炉計画では、解体終了を2036年度と見込んでいます。発電を停止してから解体終了まで27年間、使用済みの核燃料棒や放射能に汚染された設備の処理が続きます。しかも、最終処分の方法や場所は未だに決まっていません。立地地域の人々は、作業中の事故や地震・津波等の自然災害を引き鉄とする放射能汚染の危険と隣り合わせで暮らすことになります。同時に、数十年にわたって放射能の危険に満ちた仕事が地域に残されることとなります。
 廃炉・解体に要する費用は、消費者の電気料金に上乗せされます。言い換えると、将来の世代が発電しない原発の処理費用を負担させられることに他なりません。そして、一旦事故が発生すれば、廃炉費用の負担どころではない膨大な負担が発生することは、福島の事故をみても明らかです。
 原発は、長く見積もってもその寿命は40?50年。この間に暮らす世代の利益のために、立地地域に住む人々には放射能汚染というリスクを、電気の消費者には廃炉・処分費用という経済的負担を将来にわたって押し付けることになります。原発再稼働は、“将来の負担”や“未来への責任”を考えない、“今さえ良ければ…”という独り善がりの、その場凌ぎの選択と言わざるを得ないのではないでしょうか。
 

 

2012052304.jpg

「政府見解に賛成でも、2割が再稼動に反対」5/21付「朝日新聞」

 

2012052303.jpg

再稼動でゆれる大飯原発

閉じる