2013年2月 9日(土)

放射線防護学をふりかえる

外部被曝と内部被曝とどちらがリスクが高いかはいえない


内部被曝でやっかいなのはα線やβ線を出す物質

 

 国際放射線防護委員会(ICRP)は外部被曝の調査結果に基づいた計算方法で、ある臓器全体で平均するとどれくらいの被爆があったかという視点で内部被曝を考えます。
 対して放射線リスク欧州委員会(ECRR)はより精密に細胞やDNA、放射線ごとの性質にまで目を向け、一度にたくさんの放射線を浴びる外部被曝はもちろん、体の中に沈着した放射性物質から低い線量の放射線を長期に及んで浴び続ける内部被曝の影響を特に重視しています。

 

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 皮膚の表面近くで止まってしまうα線や、最大で1?程まで突き抜けるβ線を放つ放射性物質を体の中に入れてしまうと、その放射線のすべてが体の組織や器官に直接影響を及ぼすことになります。γ線の一部は体の外まで突き抜けていきます。そのため、内部被曝したとき、α線はγ線の20倍、β線はγ線の数倍?10倍ほどの強い影響を及ぼすことになります。
 内部被曝はマスクをしたり食べ物や飲み物に注意したりすればかなり防ぐことが出来る一方で、外部被曝を防ぐことは難しいなど、どちらが怖いとは一概には言い切れません。
 外部被曝は測定器を体につけておけば、どれくらいの被曝をしたかが解る。しかし内部被曝は、特殊な測定器で体の中からわずかに突き抜けてくる放射線を測り、計測によって評価するしかない。

 

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上図 比放射能が強いものほど、短い時間にたくさんの放射線を出し、半減期が短くなる。

 元ゴメリ医科大学学長 Yuri.I.Bandazheuski 氏(病理学者)はチェルノブイリ原発事故後の研究を通して、セシウムの内部被曝について、強い警告を発しています。またウクライナ医学会はチェルノブイリ原発事故後15%の膀胱がんの増加を認めています。

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