2013年4月 3日(水)

つくしんぼ保育園の1年

 震災から2年が経ちました。子どもをめぐる状況は昨年と大きく変わっていません。外遊びは今も制限があり、お散歩の時いつも線量計を持ち歩き、線量の高い所には近づかないようにしています。そんな中でも線量の低い所では思いっきりかけっこしたり、少し遠くまで足を延ばしたり、かくれんぼや固定遊具で遊ぶなど「できる遊び」を増やしてきました。
 しかし、砂はもちろん自然の物に触れることはまだできません。
また昨年と同様、どんな事も父母と話し合って確認を取りながら決めていくことを大切にしてきました。

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<父母会との取り組み>
 4月、父母会総会で散歩と水について話し合いました。
散歩で植物等に触れさせることに父母はどう思うか。このまま自然に触れる事なく乳幼児期を過ごさせていいのかと不安を感じたからです。親たちも悩み、触れてもよいが口にしないように、触った後もその手を口に入れないよう見てほしい、帰ったら石鹸でよく手を洗ってほしいといっていました。まだまだ不安いっぱいの状況が続いています。
 水についても昨年と同じように、給食で調理する水も含めてミネラルウォーターにしてほしいという要望でしばらくは水を買って使用していました。

 5月に実施した「親子遠足」。昨年は室内でしたが、石筵ふれあい牧場の線量が低いことがわかり、今年は外で久しぶりに草原を走ったり、動物と触れ合ったり、外の気持ち良い風を感じながら過ごすことができました。

 6月に食品と水のアンケートを実施しました。「線量を測って不検出であっても地場産の野菜は使わないでほしい。できるだけ県外で遠い地方の野菜にしてほしい。」との声が多く聞かれ県外産の野菜を使い、ホワイトボードに産地名を書いて父母がわかるようにしました。
水についてもミネラルウォターの希望が多かったのですが、市の検査で不検出であること、公立保育所が水道水を使って調理していること、赤ちゃんのミルクにもミネラルが多く含まれているので過剰摂取になるなど良くないこともわかり父母に知らせ、後半から水道水に切り替えました。

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 1月、わたり病院の管理栄養士関場治美さんを呼んで「食生活のポイントを理解して放射能から体を守る」と題して学習会を開きました。放射能を取り込まない方法、取り込んでも早く排出する食べ物・方法ついて学びました。放射能を測りながら食べることも大事とのお話もあり、父母の意見も聞いてみると「不検出であれば地場産の食材のほうが新鮮でおいしく食べられて良いのでは」という声も多く聞かれ、不検出を確認して使うことにしました。

 

<除 染>
 郡山市の指摘もあり5月に保育園南側の側溝の除染をしました。父母や病院の職員の方にも協力してもらって5μsv/hから0.45μsv/hに下げることができました。8月には、郡山市のほうで雨水升の除染をしました。

 

<取 材>
 7月にジャーナリストの荻原博子さん、猪熊弘子さんが郡山の状況を知りたいと保育園を訪れました。その時の様子が荻原さんによって「サンデー毎日」「女性自身」に掲載されました。また、猪熊さんも「ちいさいなかま」に記事を載せました。
 2月には全国保育団体連絡会から4名が郡山に来て保育園を見学。郡山の保育連絡会のメンバーと震災の様子やその後の保育を聞く懇談会を持ちました。心配に思っている事や行政への要望も出され、国へ働きかけたいと言っていました。

 

<給食・食材の放射線量を測定する取り組み>
 福島県と郡山市の事業として12月18日から毎日給食と食材を測るようになりました。
食品の線量を測る機械、パソコン、プリンターが設置され、専用の測る人も配属されました。
食材費(サンプル代)として1日2000円を目安に補助金と消耗品代4万が支給になります。
なにより不検出であることを確認して、安心して給食を食べることができるようになりました

 

<楽しい企画>
 9月に「つながり遊び」で有名な、二本松はじめさんが保育園でコンサートを開いてくれました。子どもたちと歌を通して元気いっぱい遊んで楽しいひと時を過ごしました。
10月にはユニセフの思いっきり外遊びプロジェクトに参加し「ふれあい科学館」に行ってきま
した。

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<支 援>
 鹿児島医療生協虹の子保育園の保護者、黒江さん、新潟民医連の高井さん、長崎県大浦診療所の増田さん、静岡健生会田町診療所職員の方々から野菜、果物お米、お菓子など沢山送られてきて、子どもたちの給食やおやつに使わせていただきました。3月には名古屋の「やきいもおじさん」こと平田さんが沢山の野菜と焼き芋を持って子どもたちに会いに来てくれました。多くの方たちが福島を気にかけてくれている、自分のこととして受け止めているという思いが伝わってきていつも元気をいっぱいもらっています。

 

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 振り返ってみると前進していることもたくさんあります。この状況がいつまでも続くと思うと気持ちが沈みがちですが、情報を集め父母と話し合いながら、子どもたちの「できること」を増やしていきたいと思います。
  

つくしんぼ保育園   鹿又智子

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