2013年4月12日(金)

この1年間を振り返って 全国の仲間と共に歩んで

この1年間を振り返って

全国の仲間と共に歩んで


                             看護部長  佐藤唱子


 震災後1年は無我夢中で、とにかく事業の継続と職員と家族を守るために精一杯の取り組みをした、あっという間の1年でした。そして再び迎え、過ぎた1年間を振り返ってみると、この1年間も昨年と同じく、全国の仲間と共にあった1年間だったと振り返ることが出来ました。
全国からの支援として、昨年に引き続き、夏の看護支援をいただきました。支援は平成24年8月1日から9月30日までの2ヶ月間で支援看護師23名となりました。支援県連は19県連、支援法人22法人、個人1名、支援延べ日数は209日となりました。8・9月とも4.5名の看護師が増えた事になります。この結果、希望者の40%がサマーキャンプやリフレッシュ休暇を取得できました。看護支援を受けての感想には、「どの人も生き生き仕事をしてくれて、こちらも元気をもらえた」「他院所のお話しも聞けてよかった」「リフレッシュ休暇として5日間休みがもらえた」「他病院から来ていただけるだけで新鮮な空気と刺激があり、余裕のない自分達に笑顔をもらいました」というものや、「福島県の現状を知ってもらう為には来て頂いたほうが良い」、「福島だけではなく、同じ日本国民として原発問題を風化させないように情報交換できるためにも、お互い行き来できれば良い」など感想があがっていました。職場責任者への要望として、支援と休暇を効果的に組み合わせ、人手が足りているときにはスタッフを休ませるなど対応して欲しいなどの声が上がっています。冬休みに合わせた支援は、子どもの冬休み期間が短い事や冬場はどこの法人もかなりの看護師体制の不足が予想されることから、支援なしでやってみる事で意思統一しました。
 

支援物資も沢山いただきました。特に看護支援に来てくださった方や、その看護部からの贈り物には、短期間でも強い絆が生まれていたことを確信しました。
震災から2年が過ぎても定期的に支援物資を送ってくださる生協や、旬の野菜や果物を送ってくださる事業所、一度に全職員に渡るほど大量の野菜や果物を送ってくださる医療生協や民医連の事業所には、“いつまでもこんなにしてもらっていいのかな?”とか“申し訳ないけどうれしい”、“本場ものはうまいなっし!”などといいながら、喜んでいます。

 

 大変な手間ひまとお金をかけて継続的に支援をしてくださる事を有難く思うと同時に、この支援の意味をしっかりととらえ、自分達は何が出来るのかを考え実践していかなくてはならないと思っています。福島県生協連で「子ども保養プロジェクト」を取り組んでいますが、当院へ医療班として看護師派遣の要請が来ます。厳しい体制の中なので現場から“また?!!”という声が聞こえる時もありますが、そんな時全国からの支援の意味を考えて、今度は私達が子ども達や地域への支援に繋げていかなければと話し合っています。

 

 支援物資といえば、クリスマスに、ある病棟の職員一人ひとりにクリスマスカードが送られてきました。思いがけないプレゼントにみんな大興奮、看護支援に来てくださった病院からのプレゼントでした。なんて優しい、暖かい心遣いでしょう!
それにしても脱原発、原発廃止の運動を全国的に進めていくためにも、福島の現状を知っていただく事が特に大切と考えているため、全国から講演の依頼があったときや、現地視察の要求があったときは積極的に応えて来ました。講演は相手方に合わせて看護管理者だけでなく3年次の看護師も派遣しました。医療福祉生協や庄内医療生協の3年次研修、奈良民医連、東神戸病院、群馬医療生協、香川医療生協の看護職員対象、近畿高等看護専門学校にも出向きました。近畿高等看護専門学校の自治会からは講演のあと学校祭での利益を寄付金としていただき、ビックリするやら嬉しいやらで感激してしまいました。
原発事故の問題は福島だけのことではない、いつ自分達が同じ目に遭うか分からない問題であると受け止めていただきたく訴えたつもりです。
 

 現地研修としては、東京民医連や埼玉民医連の看護管理者の研修視察を受け、お話しや懇談、FTF(ファースト・トラック・ファイバー)で放射線の外部・内部被曝の検出検査の体験などしていただきました。講演の後の質問から、私達がまだやれていないことや期待されていることを気づかされたりで、双方向での学びあいが出来ました。


 いま私達は、「核害の街」で主権者らしく生きてきたか、又これを次年度につなげるために何をしていくかの振り返りを進めているところです。原発事故や被曝の問題が軽視されていくことも危惧されます。次年度は今までよりも一層日常の取り組みとして位置づけることや、全国の仲間との連携強化を更に進めて原発廃炉の運動を前進させる必要性を考えると、途切れることのない“共に歩む”ことの大切さを痛感するものです。

 

2013041201.JPG

閉じる