2013年4月 4日(木)

避難者の2年目の生活 桑野協立病院受診者から見えるもの

 避難されている方々が、桑野協立病院に受診する数は、今年度も減るどころか増えてきている状況にあり、入院治療が必要な患者さんも常時1?2名いる状況は続いています。
 継続的に外来通院している患者さんは、新たな疾患が一つ二つと増えていき、病気や健康のことばかり考える日々が続いているようです。表面上はにこやかに平静を装って生活しているものの、いざ原発や避難の話になると、不安や葛藤している胸中が抑えきれなくなるようです。
 生活の様子は、仮設、借上げ一軒家で家族一緒でも大家族、借上げアパートで夫婦のみ子供は県外、3世代が別々の借上げアパートなど、2年経っても同じ状況で、良い方向に改善されたとの話は聞かれません。反対に、家族一緒だったのに老夫婦のどちらかが施設入居せざる得なくなり、別々の生活になってしまい土地勘もない中で施設への面会生活が始まったなど大変な状況へ変わっている等新たな苦労や問題が発生しています。
 また、在宅往診が必要になった方もおり、母を在宅介護する息子は「農業の代わりに介護するわ」と言いますがそれでいいのかと虚しさを感じます。どなたの生活を聞いても、長期化する避難生活での肉体的・精神的疲労が蓄積されてきており、ストレスが極限にきていると感じます。特に、自営業や農業に従事されてきた壮年期の方々は職を無くし、何もすることがなく無気力になってきているのを感じます。
 ソーシャルワーカーは、入院された患者さん全員に、入院しての不安や退院後の心配がないか面接を実施しています。その中でも避難者の方々に対しては、じっくりお話を聞くようにしています。皆さん口々に「帰りたいけど帰れない」自問自答を繰り返す言葉が聞かれ、寄り添うことしかできないことに時に無力感を感じます。また、外来通院中の患者さんへはアプローチできていないのが現状です。
 孤立させない・ささやかでも楽しみを見つける・この土地での役割を見つけることは、ここで生活していく上でとても大切なことであると思います。今年度開始された、医療生協の避難者「サロン」や地域・支部の活動を紹介するなど、意識的に紹介し、つなげていかなければならないと思います。
 

<医療相談室より> 
松本智子・細井美也子・朽木暁美

 

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